円安はどうやって止める?「為替介入」について解説

最近は円安による物価上昇って耳にするけど、円安は自然に収まるのを待つしかないの?

実は解決する方法はあるんだ。その方法”為替介入”について解説するね!
「政府・日銀が為替介入を検討」
このような言葉をニュースで耳にすることがあると思います。
しかし実際に「為替介入って何をしているのか」と聞かれると、自信をもって説明できない人も多いと思います。
円安が進行すると、輸入品の価格が上がり、ガソリン代や食料品・電気料金など、私たちの生活にじわじわと影響が出てきます。
その中で、政府や日本銀行が取る手段のひとつが「為替介入」です。
この記事では、日本政府や日本銀行が行う「為替介入」について解説します。
以下に該当する方はぜひ最後までご覧ください。
ニュースや社会の動きに興味がある人
「為替介入」について理解できていない人
「外貨準備」「協調介入」について理解したい人
そもそも「円安」とは何か
この記事の本題は「為替介入」ですが、
その前提として「円安とは何か」が分かっている必要があります。
※既に理解されている方は次の項目からご覧ください。
簡単に言うと、円安とは「円の価値が、ドルなどの外国通貨に比べて下がっている状態」のことを言います。
例えば、以前は「1ドル=100円」で買えたものが、今は「1ドル=150円」払わないと買えないとしたら、同じ1ドルを手に入れるためにより多くの日本円が必要になります。
これが円安の状態だと言えます。
ただし、円安には「輸出企業の利益が増えやすい」「輸入品の価格が上がり、物価に影響する」など、メリット・デメリットが絡み合っています。
この辺りのことについては、以下の記事で解説しているので、円安・円高の仕組みや暮らしへの影響などについて知りたい方は、ぜひご覧ください。

ここから先は、「円安が急激に進み過ぎたときに、日本の政府日本銀行がどのような手段を使うのか」という視点で、為替介入という仕組みを見ていきます。
為替介入
為替介入とは
日本銀行の説明によると、
為替介入とは「外国為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることを目的に、通貨当局が外国為替の売買を行うこと」とされています。
もう少し簡単に言い換えると、
「日本円の価値(為替レート)が急に動き過ぎて、経済に悪い影響が出そうなときに、政府が市場で通貨を売ったり買ったりして、その動きを落ち着かせようとする行為」
これが為替介入です。
この為替介入は、財務大臣の権限で実施されると法律で定められていますが、実務として行うのは日本銀行という形です。
- 決定するのは財務大臣(財務省)
- 実務として市場で売買を行うのは日本銀行
という役割分担になっています。
為替介入が行われるとき
先ほどお伝えしたように、
為替介入の目的は「為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ること」です。
ここで重要なのは、
「円安・円高そのものが悪いから止める」というよりも「短期間に行き過ぎた動きが出たときにブレーキをかける」という性格が強いことです。
例えば、短期間で急激に円安が進むと、輸入価格が急に上がり、企業のコストや家計の負担が一気に増えることに繋がります。
逆に、急激な円高も、輸出企業の収益を大きく圧迫し、雇用や投資に悪影響を与えることがあります。
また、こういった急激な変動の際には、投資家たちが「円安になると思うから円を売る」という行動をとって円安がどんどん進むことがあります。
そのため、政府・日銀は「相場が落ち着いて動いているか」「投機的な(短期的な利益を狙った)動きが強すぎないか」といった点を見ながら、必要だと判断した場合に為替介入を行います。
「1ドル何円になったら為替介入するのか」といった疑問に対して、具体的な水準やタイミングは公表されていません。
財務省や日本銀行は、市場の動き・海外の金利や経済情勢・他国との関係など、様々な要素を総合的に判断して決めています。
これは、もし「この水準になったら必ず介入する」と明言してしまうと、逆に投機的な動きを誘発してしまう可能性があるためです。
為替介入の種類
円買い介入
円買い介入とは、
政府・日銀が外国通貨(代表的には米ドル)を売って、円を買う介入のことです。
ニュースでは「ドル売り・円買い介入」と表現されることもあります。
この介入は、
急激な円安が進んでいるときに、円安の流れを抑えるために行われるものです。
市場でドルを売って日本円を買うことで、日本円の需要を増やし、円高方向(円の価値が上がる方向)に力を加えるイメージです。
円買い介入を行うためには、あらかじめ政府・日銀が保有しているドルなどの外貨を売る必要があるります。
※ここで重要な「外貨準備」については後ほど説明します。
円売り介入
一方、円売り介入とは、
政府・日銀が円を売って、ドルなどの外国通貨を買う介入のことを指します。
ニュースでは「ドル買い・円売り介入」と呼ばれることがあります。
この介入は、
急激な円高が進んでいるときに、円高の流れを和らげるために行われるものです。
市場で円を売ってドルを買うことで、円の売り圧力を高め、円安方向(円の価値が下がる方向)に力を加えることになります。
円売り介入を行う場合、政府は政府短期証券という短期の国債を発行して円資金を調達し、その円を売ってドルを買うという仕組みを取っています。
「日本円」に関して、日本政府(日本銀行)が作れる数は実質的には無限なので、円買い介入のときのように外貨を貯めておく的な必要はありません。
外貨準備
外貨準備とは
外貨準備とは、
政府や中央銀行が保有している、外国通貨建ての資産(ドル建ての国債など)のことを指します。
財務省の説明によると、
外貨準備とは外国為替相場の安定のために行う為替介入等の原資とされています。
つまり外貨準備は、
「いざというときに為替介入を行うための”燃料タンク”のようなもの」とイメージするとわかりやすいです。
特に、先ほど説明した円買い介入(ドル売り・円買い介入)を行うためには、あらかじめ十分な量のドルなどの外貨を持っていなければなりません。
そのため、外貨準備の規模や中身は、為替介入の体力を測る上で重要な指標になります。
ちなみに…
日本が保有している外貨準備高の推移は以下の通りです。

現在の外貨準備高は、約1兆4000万ドルぐらいで推移しており、日本円に換算(1ドル=160円で計算)すると約224兆円となります。
日本の国家予算が大体120兆円ぐらいなので、いかに大きな額かが分かると思います。
外貨準備の取得方法
外貨準備は、主に次のような経路で増えたり、構成が変わったりします。
1つは、先ほど触れた円売り介入(ドル買い・円売り介入)です。
政府が円を売ってドルを買うと、そのドルは外為特会などの外貨資産として積み上がっていきます。
もう一つは、保有している外貨資産の運用収入(利子)です。
円売り介入で獲得した外貨をそのまま持っていても一切増えません。
しかし、それを米国債などで運用することで、毎年数パーセントの利子が付くので、複利でどんどん増えていくことになります。
ちなみに、米国債は破綻することがない安全な資産なので、日本政府が保有しているドルはそういったところで運用すべきと言えます。
つまり外貨準備は、過去の政策の積み重ねの結果として形成されている「備え」だと言えます。
協調介入とは
協調介入とは、複数の国の通貨当局が協議し、それぞれの資金を使って、同じ方向の為替介入を同時または連続的に行うことを指します。
日本とアメリカが「円安・ドル高の状況を改善したい」と考えたとき、日本政府は自らが保有している外貨準備を使って為替介入を行う、同時にアメリカは国債発行をして得たお金(ドル)を売って円を買うという為替介入を行う場合があります。
為替市場は、世界中の投資家や企業が参加する巨大な市場です。
一国だけが介入しても、市場全体の流れが強すぎる場合には、効果が限定的になることがあります。
そこで、2カ国以上で同時期に共同して為替介入を実施することで、単独で介入を実施する場合よりも規模が大きくなり、より強い影響を外国為替相場に与えることが可能になります。
この協調介入は、国際的な信頼関係や政策協調が前提となるため、頻繁に行われるものではありません。
ただ、実施されるときには大きなニュースになります。
おわりに
今回の記事では、
- 円安・円高の前提
- 為替介入とは何か
- 円買い介入・円売り介入について
- 外貨準備の役割
- 協調介入とは何か
について、できるだけ噛み砕きながら見てきました。
為替介入は、一見すると遠い世界の話に思えるかもしれません。
しかし、円安・円高は、輸入品の価格・ガソリン・電気代・私たちの生活コストなどに影響を与えます。
そして、その為替介入を決める財務大臣や、経済・金融政策の大枠を決める政治の方向性は、私たちが選挙で選ぶ国会議員や政権によって形作られています。
つまり、私たち一人ひとりの一票がこういった政策の意思決定に繋がっていくということです。
なので、こういったことを知ることも決して無駄ではないと私は思います。

この記事が皆さんの参考になれば幸いです^^
< 出典情報 >
財務省:https://www.mof.go.jp/
日本銀行:https://www.boj.or.jp/

