円安・円高とは?為替相場のしくみと日本経済への影響を解説

円安と円高って何?どうやって決まるの?

円の価値の変動によって変わるんだ。わかりやすく解説するね^^
ニュースなどで
「歴史的な円安」「急激な円高」といった言葉を耳にすることは少なくないと思います。
最近では、円安は物価高の原因などの「悪いこと」のように語られることが多いと思います。
一方で、輸出企業には「追い風」と言われることもあり、情報がごっちゃになって混乱しやすいテーマです。
また、円安・円高がどのように決まるのか等についても十分に理解できていない人もいると思います。
この記事では、「円安」と「円高」の意味、その仕組み、そして日本経済や私たちの暮らしへの影響を、知識が全然なくても理解できるように解説します。
以下に該当する方はぜひ最後までご覧ください。
ニュースや社会の動きに興味がある人
円安・円高の基本について理解したい人
為替の基本について押さえておきたい人
円安・円高とは
円安
まず初めに「円安」について説明します。
円安とは、「円の他通貨に対する相対的価値が低い状態」を指します。
これを考える際は、「同じ1万円で、どれだけ多くのドルやユーロに両替できるのか」をイメージすると理解できます。
例えば、1ドル=100円の状況で考えてみます。
このとき、1万円をドルに両替すると100ドルになります。
次にこの状況が、1ドル200円になったとします。
すると、1万円をドルに両替しても50ドルにしかなりません。

つまり、1万円の価値が100ドルだったのに50ドルに変わってしまったのです。
これは言い換えると「円の価値が下がった」ということになり、これを円安と言います。
つまり、円安とは「ドルなどの外貨を取得するのに必要な円の量が増えている状態」と言えます。
円高
円高は円安の逆で、「1ドルを買うのに必要な円の量が減っている状態」を指します。
ここでも先ほどの例で考えてみます。
1ドル100円の際に1万円をドルに両替すると100ドルになります。
次にこの状況が、1ドル50円になったとします。
すると1万円をドルに両替すると200ドルになります。

つまり、1万円の価値が100ドルだったのが200ドルになったのです。
これは、円の価値が上がったということなので「円高」と言います。
円安・円高について、「1ドル○円」だから円安or円高といった絶対的な基準は存在しません。同じ「1ドル100円」でも、1ドル50円から変化した場合は「円安になった」、1ドル200円から変化した場合は「円高になった」と表現します。つまり、これらは相対的な表現だということです。
為替相場とは
円安・円高を理解するには、「為替相場(かわせそうば)」という言葉も押さえておく必要があります。
※為替レートとも言います。
為替相場とは端的に言うと、「日本円を外国の通貨に換えるときの交換比率」のことです。
世界にはドルやセントなどといった様々な通貨があり、海外で買い物をするには円を外貨に換える必要があります。
その際の交換比率が為替相場ということになります。
為替相場は株価と同じように、常に動いています。
テレビのニュースでも見たことがある方は多いと思いますが、「現在の東京外国為替市場の円相場は…」と報じられるのは、その時の取引の結果として「1ドル=何円か」というレートが刻々と変化しているためです。
ここまでをまとめると、次のようになります。
- 為替相場:円とドルなど、通貨同士の交換比率
- 円高:同じ円で、より多くの外貨を手に入れられる状態
- 円安:同じ円で、より少ない外貨しか手に入らない状態
なぜ円安・円高になるのか
為替レートは「需要と供給」で決まる
為替相場は、基本的には「通貨の需要と供給」で決まります。
円やドルなど、通貨間の交換比率は需要と供給の関係で決まり、需給関係が変動すれば為替相場も変動することになります。
例えば、円を売ってドルを買いたい人が多くなれば、「ドルを欲しがる人」が増えるためドル高・円安方向に動きやすくなります。
逆に、ドルを売って円を買いたい人が多くなれば、円高方向に動きやすくなるということです。
円安になりやすいとき
円安になりやすい場面の代表例として、次のような状況が考えられます。
1つ目は
「日本の金利が海外よりも低いとき」です。
投資家は、より高い利回り(利息)を求めてお金を色々なモノに換えて動かします。
日本の金利が低く海外の金利が高いときには、日本円を外貨に換えて保有しておく方が得になります。
そのため、「円を売ってドルなど金利の高い通貨を買う」動きが強まりやすくなります。
その結果、円が売られ、円安方向に動きます。

2つ目は
「日本から海外への投資が増えるとき」になります。
日本の投資家や金融機関などが、海外の株式や債券、不動産などに投資をする場合、円を売って外貨を買う必要があります。
なぜなら、相手の国で出回っている通貨は「日本円ではないから」です。
この動きが強まると外貨の需要が増え、円安方向に働きます。

3つ目は
「日本の輸入が輸出よりも大きく、貿易収支が赤字になっているとき」です。
輸入が多いということは、海外から商品を買うために外貨で支払う必要があるということです。
外貨で支払うためには、円を売って外貨を得る必要があるため、円安方向に圧力がかかりやすくなります。

円高になりやすいとき
円高になりやすい場面は、円安のときと逆の状況をイメージすると理解しやすくなります。
1つ目は
「日本の金利が相対的に高くなったとき」
「海外の金利が下がったとき」です。
投資家が「円を持っていても悪くない」「円を持つ方が得だ」と判断すれば、円を買う動きが強まり、円高方向に動きやすくなります。

2つ目は
「海外から日本への投資が増えるとき」になります。
海外の投資家が日本の株式や債券、不動産などを買う場合、外貨を売って日本円を買う必要があります。
この動きが強まると、円高方向に働きます。

3つ目は
「日本の輸出が好調で、貿易黒字が大きいとき」です。
日本企業が海外に商品を売ると、ドルなどの外貨で代金を受け取ります。そして、その外貨は従業員の給料などに支払う際に日本円に交換されます。
この外貨を日本円に換える動きが強まると、円高方向に動きやすくなります。

円安になるとどうなるのか
円安のメリット
円安のメリットは、主に「輸出」と「外貨建て資産」の2つの側面から整理できます。
輸出
1つ目は、輸出企業にとっての追い風です。
円安になると、日本から輸出する製品の価格を、海外の通貨ベースで見ると相対的に安くできます。
例えば、1台1万ドルで売っている機械を輸出している企業があるとします。
為替レートが1ドル=100円から1ドル=200円になれば、同じ1万ドルの売上でも、円に換算すると100万円から200万円に増えます。
これによって、円安は輸出企業の売上や利益を押し上げる方向に働きます。
外貨建ての資産
2つ目は、外貨建ての資産を持っている人にとってのメリットです。
ここで言う外貨建ての資産とは、ドル建ての預金や、海外の株式・債券などを指し、これらを保有している場合です。
この場合も先ほど同様、円安になると、それらの資産を円に換算したときの評価額が増えることになります。
これは、外貨建て資産の「円ベースの価値」が高まるということです。
円安のデメリット
メリットがある一方で、円安には生活者にとって無視できないデメリットもあります。
輸入品価格
1つ目は、輸入品の価格上昇です。
原油や天然ガス、小麦、トウモロコシなど、多くの資源や食料は海外から輸入されています。
円安になると、同じドル建ての価格でも、円に換算したときの金額が高くなるため、電気代やガソリン代、パンや麺類などの食料品価格に波及しやすくなります。
必ずしも企業は値上げをしないといけない訳ではありませんが、しない場合は損失を企業が被ることになり、利益を圧迫することに繋がります。
つまり、消費者と企業のどちらか(あるいはどちらも)が円安の悪影響を受けることになります。
海外
2つ目は、海外旅行や海外留学の費用が高くなることです。
円安になると、同じドルやユーロを手に入れるために必要な日本円の額が増えるため、現地での滞在費や学費などの負担が重くなります。
例えば、アメリカでお昼ご飯を食べようと思うと15ドルぐらいしますが、1ドル=100円の場合は1,500円、1ドル=160円の場合は2,400円になります。
食べるものやサービスが一切変わらないのに、お昼ご飯1回で約1,000円の差が出るとかなり高く感じますよね。
円高のメリット
円高のメリットは、主に「輸入物価の低下」と「海外での購買力の向上」にあります。
輸入物価
1つ目は、輸入品を通じた物価の抑制効果です。
例えば、原油価格がドルベースで変わらなくても、円高になれば日本円に換算した時の価格は下がります。
その結果、ガソリン代や電気代などのエネルギー関連の費用が抑えられやすくなります。
同様に、小麦やトウモロコシなどの輸入食料品の価格も、円高によって上昇しにくくなります。
仮に、日本がエネルギーや食料品などを100%自給自足で来ていたとしたら、円高・円安の影響はありません。
今すぐには非現実的な話ですが・・・
海外
2つ目は、海外旅行や海外留学がしやすくなることです。
円高になると、同じ円でより多くの外貨を手に入れられるため、現地での生活費や学費の負担が軽くなります。
これは、個人にとって非常にわかりやすい円高のメリットです。
円高のデメリット
一方で、円高には輸出企業や外貨建て資産を持つ人にとってのデメリットもあります。
輸出
1つ目は、輸出企業の採算悪化です。
円高になると、日本から輸出する製品の価格が、海外の通貨ベースで見ると相対的に高くなります。
すると、別に日本の製品の質が良くなったりしたわけでもないのに、海外の人からすると値段だけが上がるという現象になります。
これによって、日本製品の国際競争力が低下することが考えられます。
外貨建て資産
2つ目は、外貨建て資産の評価額の目減りです。
ドル建て預金や海外株式などを保有している場合、
円高になると、それらを円に換算した時の評価額が下がります。
つまり、外貨建て資産の「円ベースの価値が減る」ということになります。
ただし、円に換算することがないのであれば、デメリットにはなりません。
円安・円高は一長一短
ここまで見てきたように、円安にも円高にも、それぞれメリットとデメリットがあります。
重要なのは、「どちらが絶対に良い・悪い」という話ではなく、「誰の立場で見るか」「どの期間で見るか」によって評価が変わるということです。
輸出企業や外貨建て資産を多く持つ人にとっては、円安がプラスに働きやすい一方で、輸入に依存する企業や生活費の多くを輸入品に頼っている家計にとっては、円安は負担増につながります。
逆に、円高は輸入物価を抑え、海外旅行や留学をしやすくなる一方で、輸出企業の収益を減少させ、外貨建て資産の評価額を押し下げることに繋がります。
また、もう1つ重要なのが、「水準」だけでなく「スピード」です。
為替レートがゆっくりと動く場合には、企業も家計もある程度時間をかけて対応策を取ることができます。
しかし、短期間に急激な円安や円高が進むと、企業の価格設定や投資計画、家計の生活設計に大きな不確実性が生じます。
そのため繰り返しになりますが、「円安だから悪い」「円高だから良い」といった単純なラベルではなく、「どの業界にとってどうか」「家計にとってどうか」「急激か、緩やかなのか」といった複数の軸を持ちながら考えることが、為替を見るうえで必要になってきます。
おわりに
今回の記事では、日本銀行などの説明を参考に、為替相場の基本、円安・円高の定義、その背景となる需要や金利差、そして日本経済や私たちの生活への影響について整理してきました。
大切なのは「円安=悪」「円高=善」といった単純な図式でなく、「誰の立場から見るか」「どの期間で見るか」によって評価が変わるという視点です。
輸出企業、輸入企業、家計、投資家、それぞれにとってプラスとマイナスがあり、急激な変動はその調整を難しくします。
そして、為替や金融政策は、最終的には政治とも深く結びついています。
日本銀行は政府から独立した立場で金融政策を運営していることとなっていますが、前提となる法律や政策の仕組み・日銀総裁の任命は、国会議員が決めることになります。
その国会議員を選んでいるのは、私たち一人ひとりの一票です。
円安・円高のニュースを、「なんとなく景気の話」として聞き流すのではなく、「自分の生活や将来、そして日本の経済・政治のあり方とどうつながっているのか」を考えるきっかけにしていくことが、民主主義の構成員としての私たちに求められている姿勢だと思います。

この記事が皆さんの参考になれば幸いです^^
< 出典情報 >
日本銀行:https://www.boj.or.jp
全国銀行協会:https://www.zenginkyo.or.jp
