在留外国人428万人で過去最多 現状からよくある勘違いを解説
先日「在留外国人の数が428万人を超え、過去最多となった」というニュースが出ました。
これについて、日本や個人の生活にどのような影響があるのかを不安に感じたりした方もいると思います。
実際にネット上でも「人手不足だから外国人に来てもらう必要がある」という意見もあれば「言語や文化の異なる人々が増え続けていくことへの不安」を感じる方もいます。
この記事では、今回のニュースを解説した上で、外国人を受け入れるメリット・デメリット、よくある勘違いについて整理していきます。
※なお、外国人の受け入れは、個人の主観によっても左右されるテーマでもあり、この記事は特定の立場を支持するものではありません。
ニュースの概要

出入国在留管理庁は、2026年6月末時点の「在留外国人数」を発表しました。
以下では、出入国在留管理庁「令和8年6月末における在留外国人数について」の内容をもとに整理していきます。
前年末より15万人以上増加
発表によると、2026年6月末の在留外国人数は428万1,026人でした。
以下は国が発表している「在留外国人の推移」になります。

前年末の412万5,395人と比較して15万人超、率にして3.8%の増加で過去最高を更新しています。
比べている相手が前年末であるため、この15万人超は半年間の増え方になります。
「在留外国人」とは、日本に中長期(旅行などの短期滞在は含まない)暮らしている外国人を指します。
内訳は、中長期在留者が401万7,321人、特別永住者が26万3,705人です。
※ちなみに、特別永住者とは、戦前から日本に暮らし、戦後の平和条約で日本国籍を離れた方とその子孫などに認められた永住の資格です。
また男女別では、男性が219万2,764人(51.2%)、女性が208万8,199人(48.8%)で、大きな差はありません。
国籍・地域別
在留カード等及び特定在留カード等に表記された国籍・地域の数は195でした。
上位10は、多い順に以下のようになっています。
- 中国(94万1,031人)
- ベトナム(69万3,750人)
- 韓国(40万8,682人)
- フィリピン(36万2,761人)
- ネパール(33万4,850人)
- インドネシア(30万7,456人)
- ミャンマー(21万1,602人)
- ブラジル(20万9,550人)
- スリランカ(8万5,415人)
- 台湾(7万3,628人)
前年末と比較すると、ブラジル(464人減少)を除く9つの国・地域で増加しました。
上位10の中で増加数が特に大きいのは以下の国々です。
- インドネシア(4万1,387人増)
- ネパール(3万3,858人増)
- ミャンマー(2万9,035人増)
このように整理して見ると、主にアジアからの在留外国人が増加していることが分かります。
また、総務省の人口推計によると、現在の日本の総人口は約1億2,268万人です。
在留外国人428万1,026人をこの総人口で割ると、約3.5%になります。
つまり、現在の日本では、在留外国人の割合はおおよそ29人に1人となります。
また、以下のように在留外国人は大都市圏に集中しているため、地域によってその割合は変化します。
- 東京都:82万4,486人(19.3%)
- 大阪府:38万9,846人(9.1%)
- 愛知県:36万9,849人(8.6%)
- 神奈川県:33万1,515人(7.7%)
- 埼玉県:30万5,867人(7.1%)
外国人受け入れのメリット・デメリット
次に、外国人の受け入れについて整理していきます。
ここでは「一般的に言われる」メリット・デメリットについて、それぞれ2つずつ挙げて説明していきます。
メリット
メリット1:多様化
外国人が職場に加わることで、日本人だけでは出にくいアイディアや、外国語・海外の事情に詳しいという強みが生まれる期待があります。
具体的には、今までなかった視点や取り組みを実施することで組織のモチベーションが向上したり、多言語でのサービス対応が可能になったりすることも考えられます。
さらに、多言語での対応が可能になれば海外への進出等のハードルも下がるかもしれません。
内閣府が実施した調査では、外国人従業員がいる職場について「アイディアの創出」がポジティブな意見の中で最も大きな割合を占めています。
実際に外国人を雇う会社側も、同じような期待を持っていることが厚生労働省の調査から分かります。
厚生労働省の調査によると、外国人を雇う理由として「日本人と同等又はそれ以上の活躍を期待して」が56.2%、「事業所の国際化・多様性の向上を図るため」が18.1%でした。
もちろん、これらは「期待」を尋ねた結果であり、どれだけ成果が出ているかは不明であるため、その違いについては注意が必要です。
メリット2:人手不足解消
その他に外国人を受け入れるメリットとして挙げられるのが「人手不足の緩和」です。
例えば、ある飲食店で働く人が不足しているとします。
すると、店は営業時間の短縮や営業日を減らしたりする可能性があり、十分なサービスが提供できなくことが考えられます。
このような状況で外国人が働き手として加われば、事業を継続したり、生産やサービスの提供を維持したりしやすくなります。
厚生労働省の調査では、外国人雇用事業所が外国人労働者を雇用する理由として「労働力不足の解消・緩和のため」が68.2%で最も多くなっています。
ただし、以下の章でも解説しますが、外国人の受け入れによって人手不足を緩和することが、経済にとって最善の方法かは別問題です。
デメリット
共生コスト
外国人が増えると、学校での日本語指導・医療や行政窓口での多言語対応・住まいの確保など、暮らしを支える仕組みにも費用と手間がかかります。
文部科学省の調査では、公立の小・中・高校などで日本語指導を必要とする児童生徒は、2025年5月1日時点で8万4,759人と過去最多を記録しています。
前回調査からは約22.6%増、平成28年度と比較すると約2倍になります。
職場でも、同様の課題は小さくありません。
厚生労働省の調査で、外国人を雇う事業所に課題を質問したところ、以下の問題点が多く挙げられていました。
- 日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい(46.2%)
- 在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑(24.8%)
- 文化・価値観・生活習慣等の違いによるトラブルがある(22.4%)
- 生活環境の整備にコストがかかる(21.9%)
当たり前ですが、日本で暮らしたことがない外国人が日本の文化・慣習を正確に捉えられていることは困難です。
それぞれの国にそれぞれの価値観・文化・伝統といったものがあります。
悪気がなくても、それらを日本に持ち込み、適応できない人が居ることも容易に想像できます。
その結果、摩擦・衝突が起きてしまうリスクがあります。
よくある勘違い
ここからは、「人手が足りないから、外国人に来てもらう」という考え方を取り上げます。
先ほどもお伝えしましたが、厚生労働省の調査では、企業が外国人を雇う理由として最も多かったのは「労働力不足の解消・緩和のため」でした。
しかし、労働力不足を解消するための手段として外国人を受け入れることが最善の解決策なのでしょうか。
私は、この問題を考えるうえで、「人手不足だから経済成長できない」という考え方そのものを見直す必要があると考えています。
人手不足だから経済成長できない、とは限らない
「少子高齢化によって労働人口が減少すると、日本全体で生産できる財やサービスの量が減り、経済が衰退する。」
この考え方は、一見するともっともらしく感じます。
しかし、
経済全体の大きさを考えるうえで重要なのは働く人の数だけではありません。
一人ひとりがどれだけの財やサービスを生産できるか、つまり「労働生産性」も非常に重要な視点になります。
例えば、10人で毎日1つの商品を生産していた企業から半分の人が退職して5人になったとします。しかし、機械化・自動化によって、その商品を2人で毎日1つ生産できるようになったとします。すると、結果的に以前より多くの商品を生産できるようになった(=経済成長した)ことになります。
つまり、労働人口が減って人手不足になったとしても、生産性の向上でカバーできるということです。
実際に、高度経済成長期の日本は、完全失業率のデータから今よりも人手不足だったことが分かっていますが、それでも多くの外国人を受け入れることなく経済成長を遂げました。
これが「人手不足を生産性の向上で解決する例」になります。
つまり、「日本経済」を考える上では、人手不足を解決するために外国人を受け入れることだけを考えるのではなく、いかに労働生産性を向上させるのかが大切になります。
この部分については、以下の記事でより詳しく解説しています。
興味のある方はぜひご覧ください。

※もちろん、外国人を受け入れることのメリットは人手不足の解消だけではないため、抱えている課題によっては最も優先されるべき選択肢になることもあると思います。
しかし「日本の経済成長」という視点で見ると、少なくとも人手不足の穴を人で埋めるより、機械化・自動化等によって埋める方が良いという点をここでは解説しました。
おわりに
外国人の受け入れについては、最近は注目されているテーマの一つです。
「増えすぎだ」と不安に感じる人もいれば、「受け入れるべきだ」と考える人もいます。
大切なのは、まず数字や制度を正しく知り、その上で自分の頭で考えることだと思います。
そして、「外国人をどんなルールで、どれくらい受け入れるのか」といったことは、国会で決まる法律や政府の方針によって決まります。
そして、国会議員や首長・地方議員を私たちが選挙で選んでいます。
つまり、私たちの一票は、日本の外国人政策や人手不足への向き合い方を間接的に選ぶことでもあります。
外国人のさらなる受け入れに賛成でも反対でも良いと思います。
大切なのは、物事を多角的な視点から捉え、どの選択肢が良いと思うのかを自分で考えることだと思います。
各政党もこれらの政策を掲げているため、ぜひ自身の目で確かめてみてください!

この記事が皆さんの参考になれば幸いです^^
<出典>
出入国在留管理庁:https://www.moj.go.jp/isa/index.html
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/index.html
文部科学省:https://www.mext.go.jp/
内閣府:https://www.cao.go.jp/

