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少子化の本当の原因とは?現状とデータで読み解く背景を解説

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「日本は少子化で衰退していく」
「若者が結婚したがらないから少子化が進んでいる」

こういった意見を耳にしたことはありませんか??

しかし実際のデータを丁寧に見ていくと、
「なんとなくのイメージ」と「現実」の間には、大きなズレがあることが分かります。

この記事では、厚生労働省や内閣府などの公的データを基に、「少子化の本当の原因」を、知識が全然ない方でも理解できるように解説していきます。

「若者の価値観が変わったから」だけでは説明できない、日本の少子化の構造を見ていきましょう。

以下に該当する方はぜひ最後までご覧ください。

こんな人におすすめ

ニュースや社会の動きに興味がある人
少子化の背景を理解したい人
少子化が「時代のせい」だと思っている人

少子化の現状

まずは「日本の少子化がどれくらい進んでいるのか」を、出生数と合計特殊出生率という2つの指標から確認していきます。

出生数

出生率とは、その年に生まれた子どもの数を指します。

厚生労働省の「人口動態統計」によると、
日本の出生数は長期的に減少しており、現在でもその傾向は変わっていません。

出生数の推移(1970~2024年)
出生数の推移(1970~2024年)

上のグラフがその推移を表したものになりますが、1970年頃には200万人を超えていた出生数が、現在では70万人を切っている状況で、単純に生まれる子供の数が約3分の1になっています。

合計特殊出生率

少子化を語るときに必ず出てくるのが「合計特殊出生率」です。

これは、「15歳~49歳までの助成の年齢別出生率を合計したもの」になります。

よくある誤解が「合計特殊出生率とは、1人の女性が一生の間に産む子供の数」という説明です。

しかし実際は、「もしこの年の産み方のペースが一生続いたら、女性は平均何人産むのか」という仮の予測の値を示したものです。

その合計特殊出生率の推移が以下の通りです。

合計特殊出生率の推移(1970~2024年)
合計特殊出生率の推移(1970~2024年)

厚生労働省の最新のデータによると、
2024年の日本の合計特殊出生率は1.15となっており、過去最低水準となっています。

この合計特殊出生率について、
人口が長期的に維持されるためには約2.1必要だと言われています。

今の日本はその値を大きく下回っており、少子化が進んでいることが明らかにわかります。

そのため、「出生数の減少」と「合計特殊出生率の低下」が組み合わさることで、日本の人口は既に減少局面に入っており、今後のこの傾向が続くと見込まれています。

合計特殊出生率が減少する理由

合計特殊出生率が減少する要因は、大きく次の3つに分けられます。
下では各項目について、分析していきます。

1.平均初婚年齢

2.完結出生児数

3.生涯未婚率

平均初婚年齢

平均初婚年齢とは、「初めて結婚した人の平均年齢」を意味します。

以下が、その推移を表したグラフです。

平均初婚年齢の推移
平均初婚年齢と出生順位別出生時の母の平均年齢の年次推移

厚生労働省の統計によると、日本では1970年代以降、男女ともに平均初婚年齢が上昇し、いわゆる「晩婚化(結婚する年齢が遅くなること)」が進行してきました。

棒グラフの数値を見ると推移が分かりますが、例えば1975年の平均初婚年齢が20代半ばだったのに対し、現在では約30歳となっています。

しかし、直近のデータに焦点を当てると、ここ10年ほどは「晩婚化がさらに進んでいる」というよりも、ほぼ横ばい状態となっており、「結婚年齢がどんどん遅くなっている」というイメージ程には、最近の変化は大きくありません。

つまり、「晩婚化そのもの」は長期的には少子化の一因となっている可能性はありますが、「直近の少子化の加速」を説明する決定的な要因とは言えないということです。

なぜなら、仮に晩婚化が少子化の原因なら、現在も晩婚化が進行しているはずだからです。

完結出生児数

完結出生児数(かんけつしゅっしょうじすう)とは、「結婚持続期間(結婚からの経過期間)15~19年夫婦の平均出生子ども数であり、夫婦から生まれた子どもの数の平均」のことです。

この完結出生児数の推移が以下の通りです。

完結出生児数の推移
夫婦の完結出生児数の推移

1950年代~60年代頃と比べると、完結出生児数は「3人台」から「2人台」へと減少しており、長期的には「一組の夫婦が持つ子どもの数」は減少していきました。

しかし、1970年代後半~1980年代の世代では、完結出生児数はおおむね「2人程度」で推移しており、ここ数十年で急激に減り続けているわけではありません。

つまり、「結婚した夫婦が、30年前までは4人産んでいたのに、今は1人しか産まなくなった」というよ言うな極端な変化が、直近の少子化の主因ではない、ということです。

「結婚した夫婦は、今も大体2人前後の子どもを持つことが多い」という構図は、意外と変わっていないのです。

生涯未婚率

生涯未婚率とは、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を指す指標になります。
※今では「50歳時の未婚割合」などと言われることが多いです。

その推移が次の通りです。

生涯未婚率の推移
50歳時の未婚率の推移

この生涯未婚率は、男女ともに長期的に上昇を続けています。

この推計によると、かつて(1900年代後半頃まで)は男性も女性も生涯未婚率は1桁台で推移していましたが、近年では男性で3割近く、女性で2割程度に達しており、「結婚しないまま一生を過ごす人」が確実に増えています。

この傾向は現在進行形で進んでおり、
これが少子化の核となる要因と言っても過言ではありません

つまり、ここまでの3点を整理すると次のような構図が見えてきます。

  • 結婚する人の「平均初婚年齢」は、長期的には上がったが、直近では大きく変わっていない
  • 結婚した夫婦が持つ子どもの数(完結出生児数)は、ここ数十年は大きく減っていない
  • 一方で、「そもそも結婚しない人(生涯未婚)」の割合は、男女ともに増え続けている

このことから、「現在の少子化に最も強く影響を与えているのは、生涯未婚率の上昇、つまり『結婚しない人が増えていること』だ」と考えるのが、データに即した理解になります。

なぜ結婚数が減少しているのか

ここまでで、「少子化の大きな要因は、生涯未婚率の上昇=結婚しない人が増えていることだ」というところまで整理できました。

では、なぜ結婚する人が減っているのでしょうか?

この記事では、次の2つの仮説を、公的な調査結果を基に検証してきます。

1.価値観の変化(若者が結婚しなくなったのか)

2.経済的な理由(収入や雇用の不安定さが結婚を妨げているのか)

価値観の変化

よく耳にする説明として、
「最近の若者は結婚したがらないから、少子化が進んでいる」というものがあります。

しかし、国立社会保障点人口問題研究所の「出生動向基本調査」を見ると、このイメージは誇張されていることが分かります。

その中に、18~34歳の未婚者を対象に「いずれ結婚するつもりがあるか」を尋ねた調査があります。(以下調査結果)

未婚者のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合

この調査で「いずれ結婚するつもり」と答えた人の割合は、男女ともにわずかに減少しているものの、依然として8割以上を維持しています

つまり、「結婚願望そのもの」は、多くの若い世代で今もなお強く残っているのです。

このことから、「価値観の変化が、少子化の主な要因だ」と断定するのは難しく、「価値観の変化が少子化に与える影響は相対的に小さい」と考えるのが妥当です。

むしろ、「結婚したい気持ちはあるのに、何かしらの理由で結婚に踏み出せない人が増えている」と見る方が、データに近い理解になります。

経済的理由

次に、「経済的な理由」が結婚にどのような影響を与えているのかを見ていきます。

年収が低い人ほど未婚率が高い

政府が出しているデータを見ると、
特に男性において「年収が低いほど未婚率が高い」という関係が明確に確認されています。

以下がその根拠になります。

男女別にみた年収区分別の未婚率
男女別にみた年収区分別の未婚率
男性の年収別有配偶率
男性の年収別有配偶率

簡単に言えば、「年収が低い男性ほど結婚しにくい(結婚している割合が低い)」ということが読み解けます。

もちろん、結婚という決断をする際に女性が「相手の年収だけ」を見て決めるわけではありませんが、大切な要素の1つであることは理解できると思います。

つまりこれは、「結婚や子育てには一定の経済的基盤が必要だ」という社会的な認識のある日本社会において、収入の低さや雇用の不安定さが、結婚への大きなハードルになっていることを示しています。

雇用形態と有配偶率

先ほど見た「年収と未婚率」と関係してくる部分ではありますが、雇用形態によっても有配偶率が変わってくることが分かっています。

男性の従業上の地位・雇用形態別有配偶率
男性の従業上の地位・雇用形態別有配偶率

政府が発表しているデータによると、男性が正規の職員・従業員である場合、「20~24歳」「25~29歳」「30~34歳」のすべての年代で、非正規の職員・従業員よりも配偶率(結婚している割合)が高いことが確認されています。

一般的に、正規労働者より非正規労働者の賃金の方が低いことに照らし合わせると、先ほど見た「年収と未婚率」との関係とも一致します。

そして、その非正規雇用の割合は増加しているのも事実です。

非正規雇用比率の推移

1985年(昭和60年)の男性の非正規雇用比率は7.4%でしたが、2019年(令和元年)では約3倍の22.8%となっています。

これは、「結婚したいかどうか」という価値観だけでなく、「結婚できるだけの経済的条件を満たしているかどうか」が結婚の可否に強く影響していることを示しています。

つまり、「時代の価値観の変化」というよりも「経済的理由」の方が大きな影響を与えている可能性が考えられます。

「少子化で経済が衰退する」は誤解

少子化の議論では、
「人口が減ると経済が衰退してしまう」というイメージがよく語られます。

しかし、経済全体で考えると「人口が減る=経済成長できない」という訳ではありません。

重要なのは「一人当たりの労働生産性(1人の働き手がどれだけ付加価値を生み出せるか)」になります。

人口が減少しても、
一人当たりの労働生産性が高まれば、経済全体として成長することは十分に可能です。

実際、人口が頭打ち、あるいは減少局面に入っても、労働生産性の向上によって経済成長を続けている国も複数存在します。

詳しくは以下の記事で解説しているので、興味のある方はぜひご覧ください。

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おわりに

ここまで見てきたように、現在急速に進んでいる日本の少子化は「最近の若者が結婚したがらないから」という一言で片づけられるような単純な問題ではありません。

もちろん一つの要因としてはあるかもしれませんが。

ただ、データを追っていくと、

  • 結婚した夫婦が持つ子どもの数は、ここ数十年で大きくは変わっていないこと
  • 一方で、生涯未婚率が男女ともに上昇し、「そもそも結婚にたどり着けない人」が増えていること
  • その背景には、価値観の変化よりも、年収や雇用形態といった経済的な要因が強く影響している可能性が高いこと

といった構図が浮かび上がってきます。

少子化の原因を単に「若者のせい」にするのではなく、「結婚したい人が、安心して結婚・出産・子育てを選べる社会になっているか」 という問いを、政治や政府の政策に対して投げかけていく必要があります。

たとえば、

  • 非正規雇用の多さや賃金水準の問題
  • 住宅費や教育費の負担の重さ
  • 長時間労働や不安定な働き方
  • 子育てと仕事の両立を難しくしている制度や職場文化

こうした一つひとつは、
個人の努力だけではどうにもならない部分が大きく、まさに「政治」や「政府の役割」が問われる領域です。

そしてその政治家を選んでいるのは私たち有権者です。

少子化については様々な要因が複雑に絡まっている可能性が高く、今回取り上げた側面が100%絶対に正しいとは言い切れませんが、これを機に皆さんが社会問題について考えるきっかけになれば幸いです。

はちくん
はちくん

この記事が皆さんの参考になれば幸いです^^

【出典情報】
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/index.html
内閣府:https://www.cao.go.jp/
内閣府男女共同参画局:https://www.gender.go.jp/
子ども家庭庁:https://www.cfa.go.jp/
政府統計の総合窓口:https://www.e-stat.go.jp/

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