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経済

ジンバブエのハイパーインフレ:背景と原因を解説

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hachikundaisuki8
兄さん
兄さん

ハイパーインフレになるとどうなるの?
そもそも実際に経験した国はあるの?

はちくん
はちくん

実はジンバブエという国で過去にハイパーインフレになったことがあるんだ。その原因や当時の状況などについて解説するね!

みなさん、アフリカの南部に位置するジンバブエで「ハイパーインフレ」が起きたことがあるのはご存じでしょうか。

ハイパーインフレとは簡単に言うと、物価が短期間のうちに猛烈な勢いで上昇していく現象のことです。

実際にジンバブエで、そのハイパーインフレが発生し、経済が混乱しました。

その際に発行された紙幣が
100,000,000,000,000ジンバブエ・ドルです。

0が多すぎてわかりにくいですが、100兆の紙幣が誕生しました。

この記事では、当時のジンバブエで何が起きていたのか、その背景と原因は何なのかについて解説します。

以下に該当する方はぜひご覧ください。

こんな人におすすめ

ニュースや社会の動きに興味がある人
ジンバブエのハイパーインフレについて知りたい人
ハイパーインフレになるとどうなるのかを知りたい人

そもそもハイパーインフレとは

そもそもハイパーインフレとは

まず前提となる言葉について整理しておきます。

インフレ(インフレーション)とは、需要が供給能力を上回ることによって、モノやサービスの価格が上昇していくことを指します。

例えば100円で買えていたパンが、需要が増加することで110円になることです。

そして、需要が増加すると、その分企業は投資をして供給能力を増やそうとします。

このように、需要が増加すると経済成長を引き起こすことに繋がるという点において、インフレ自体は必ずしも悪いものではありません。

一方、ハイパーインフレとは、そのインフレが桁違いに激しくなった状態を指します。

経済学では一般に、物価上昇率が一か月で50%以上になる状態がハイパーインフレとされています。

このペースが1年続くと物価は約130倍になり、明らかに異常事態だとわかると思います。

このハイパーインフレがジンバブエという国内では発生しました。

インフレ等については以下の記事で解説しています。
興味のある方はぜひご覧ください。

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なぜハイパーインフレになったのか

なぜハイパーインフレになったのか

では、なぜジンバブエでハイパーインフレが起きたのでしょうか。

その背景について3つのパートに分けて解説していきます。

①土地改革

まずジンバブエでは、1980年の独立当初、白人が経営を行い、その下で黒人が労働をするという産業構造になっていました。

そのため、黒人農民への土地の再配分が国の大きな課題とされ、改革が進められてきました。

そして、状況が大きく変わったのは2000年前後でした。

政府は土地収用法を改正し、補償なしの強制収用を可能とする「ファスト・トラック」と呼ばれる手法で、土地の収用を進めていきました。

その政策の規模は大きく、進め方も問題でした。

実際にその政策において、十分な経営ノウハウを持たない今まで労働者だった黒人に土地を配分したこと・十分なインフラの整備を行わないまま土地を再配分したことで、農業生産が落ち込み、国民生活に深刻な影響が出ました。

②生産能力の低下

このように、今まで労働者として搾取されていた黒人が、いきなり白人が行っていたように経営ができる訳もなく、生産能力が低下するのはイメージできると思います。

この農業の落ち込みは、まず食糧不足として表れました。

外務省によると、2003年には国民の約半数にあたる500万人が、国際社会からの食料援助に頼らざるを得ない状況になりました。

その後も、2006年から2007年にかけて、主食であるトウモロコシが不作となり、生産量も減少していく事態になりました。

さらに、影響は食料だけに留まりませんでした。

たばこ等の換金作物(売ってお金に換えるための作物)の生産が落ち込みました。

これによって外貨が底をつき、燃料・電気・機械・部品・生産設備の輸入が困難になり、製造業や鉱工業にも大きな影響が及びました。

このように、農業の崩壊が他の産業へと連鎖していく事態になりました。

③政府支出の増加

このような状況では、国内の生産能力がどんどん衰退していく一方です。

つまり、「需要>供給」という状態=インフレが拡大していくようになるということです。

本来であれば、政府は供給能力を引き上げる政策を打つ必要がありました。

しかしジンバブエ政府は、物価が上がっていて大変な国民生活を救おうと大量の通貨発行を行いました。

通貨発行そのものを否定するわけではなく、「需要>供給」という状況下での通貨発行が事態を悪化させました。

お金が増えると人々は物を欲しがるようになり、さらなる需要増加に繋がります。

すると、「需要>供給」だったのが「需要>>>供給」のように、供給能力の割に合わない通貨が世の中に出回ることになります。

すると、モノやサービスの価格はみるみるうちに上昇し、ハイパーインフレにつながっていきます。

物価が上昇する→政府は通貨発行をする→物価が上昇する…

この流れがジンバブエでは続きました。

そして最終的に、ピーク時には推定2億%を超えるインフレ率を記録したとされています。

これは大使館の資料表現ですが、一部の研究によると月間約796億%のインフレ率に達したとされており、いかに当時のインフレが凄まじかったのかがわかります。

この一連の流れで誕生した紙幣が「100兆ジンバブエ・ドル」というわけです。

ジンバブエのハイパーインフレ

ジンバブエのハイパーインフレ

これまでは、ジンバブエのハイパーインフレについて客観的な部分を説明してきました。

では、当時のジンバブエ国内の様子について、ここでは紹介していきます。

まず、当時のジンバブエでは1日に何度も物の値段が変わり、店頭からは商品が消え、ATMには長蛇の列ができたとされています。

なかには、行列に並んでいる間にパンの値段が2倍になってしまったというエピソードもあります。

バス代すら払えなくなった人々は、仕事に通うことを諦め、自宅の近くで菜園を耕して食料を確保するようになりました。

さらに、ジンバブエ・ドルの紙幣そのものが著しく不足し、銀行預金を引き出すことさえ極端に難しくなりました。

こうした混乱は、人々の日常生活だけではなく、経済全体にも深刻な影響を及ぼしました。

失業率は80%を超え、国内総生産(GDP)も1950年代の水準にまで落ち込んだとされています。

また、出生時の平均余命は1990年では61歳だったのが、2006年には43歳に低下しました。
※ただし、この低下にはエイズの流行なども影響しており、ハイパーインフレだけが原因というわけではない

それでも、当時のジンバブエが経済や人々の暮らしを支える基盤そのものが揺らぐほどの深刻な危機に陥っていたことがわかります。

そして、こうした状況の中で特に大きな損失を被ったのが、ジンバブエ・ドルで貯金や年金を持っていた人々です。

物価が急激に上昇すれば、同じ金額で買えるものは減っていきます。

昨日まで生活を支えるために十分だった貯金も、今日にはほとんど役に立たなくなってしまうのです。

つまり、ハイパーインフレの恐ろしさは単に物価が上がることではありません。

世の中から物が消え、将来のために蓄えていた貯金も意味を成さず、生存の難易度が上昇してしまうことなのです。

経済における最重要事項

経済における最重要事項

上記では、ジンバブエのハイパーインフレにおける一連の流れを確認していきました。

今回紹介した事例では次のようにして経済が崩壊しました。

  1. 政策の失敗
  2. 産業の崩壊
  3. ハイパーインフレ

つまり、「生産能力」が経済を考える上で最も重要な要素だということです。

もし仮にジンバブエの生産能力が十分に維持されていたら、政府が通貨発行をしても甚大なインフレにはなっていないと考えられます。

肝心なのは「生産能力を引き伸ばすこと」であり、需要が小さくなっている(デフレ)時には政府が通貨発行で需要を大きくする必要があるということです。

現代においてお金とは、金銀のように数に上限がある物ではありません。
※金貨・銀貨の金本位制の時代は上限がありました。

お金は貸借関係=誰かが借り入れをしたときに無から生まれるものであり、簡単に言うと一瞬で作ることができます。

お金については以下の記事で解説しています。
興味のある方はぜひご覧ください。

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しかし、生産能力は今すぐに何倍にもできるものではなく、失ってしまうと取り返しのつかない技術やノウハウもあります。

そういった視点を持った上で、どのようにして生産能力を維持しつつ高めていくのかを政府は考える必要があります。

まとめ

ジンバブエのハイパーインフレ:概要

ジンバブエでは、1990年代後半から高インフレが続き、ピーク時には推定で年率2億%を超えるインフレ率を記録した。その一連の流れで、食糧不足に陥り、国民の約半数が国外からの食料援助に頼らざるを得ない状況になった。

ジンバブエのハイパーインフレの経過①

ムガベ大統領の下で、2000年から本格化した補償なしの土地収用・準備不足の再分配(ファスト・トラック)を行ったことで、白人が所収していた農場の多くが黒人に引き渡された。

ジンバブエのハイパーインフレの経過②

今までの白人経営から黒人経営に一気に移ったことなどが原因で農業生産が落ち込み、食糧不足が深刻化。さらに換金作物の生産減少によって、燃料・電気等の輸入も困難になり、製造業・鉱工業にも打撃となった。

ジンバブエのハイパーインフレの経過③

生産能力が低下する中、ジンバブエ政府が大量の通貨発行を行ったことで、需要と供給の不均衡がさらに拡大し、物価上昇と通貨発行が繰り返される悪循環に陥った。その結果、ハイパーインフレが発生し、100兆ジンバブエ・ドル紙幣の誕生につながった。

ジンバブエのハイパーインフレからの学び

ハイパーインフレが発生した根本原因は、生産能力が低下したことにある。この生産能力をいかに維持・向上させていくかという視点を持った政策が政府には必要になる。

おわりに

今回の記事では、ジンバブエのハイパーインフレについてまとめました。

この出来事は、遠いアフリカの国・昔の出来事に見えるかもしれません。

しかし、その背景には「国のお金の使い方」「国の政策の方向性」という、どの国にも共通する視点がありました。

そして、それらが間違った方向に進むと、私たちの生活・命が脅かされることに繋がるということも今回の出来事で紹介しました。

そういった点において、決して日本も他人事ではありません。

日本では、国の予算は国会の審議と議決を経て決まります。

そして、法律を作り、予算を決める国会議員は私たちが選挙で選んだ人々です。

つまり、国のお金のお使い方や私たちの生活の行方は、私たち一人ひとりの一票の積み重ねの上に成り立っているのです。

政治に無関心でいられても無関係ではいられないと言いますが、皆さんが政治を自分事として捉えるきっかけになればうれしいです。

はちくん
はちくん

この記事が皆さんの参考になれば幸いです

<出典>
外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
在ジンバブエ日本国大使館:https://www.zw.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
IMF:https://www.elibrary.imf.org/
FAO:https://www.fao.org/home/en
中村香子「ハイパー・インフレの人類学―ジンバブエ「危機」下の多元的貨幣経済―」

『アフリカ研究』第90号、2016年、pp. 126–128.
https://doi.org/10.11619/africa.2016.90_126
Steve H. Hanke and Alex K. F. Kwok,
“On the Measurement of Zimbabwe’s Hyperinflation,” Cato Journal, Vol. 29, No. 2, 2009.
https://www.cato.org/sites/cato.org/files/serials/files/cato-journal/2009/5/cj29n2-8.pdf

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