「日本が経済成長しないのは成長しきったから」←これ間違いです

思ったんだけど、日本が経済成長しないのは限界まで成長したからじゃないの?

そういった意見もあるけど、実は全然そんなことないんだ!
1つずつ整理していくと理解できるよ
「日本はもう十分豊かになったから成長しなくてもおかしくない」
こういった言葉を耳にしたことがある人、あるいは意見を持ったことがある人はいると思います。
確かに、日本は世界的に見ても豊かで大きな経済規模を持つ国の1つです。
しかし、コロナ禍でマスクが手に入らなかったこと、最近のコメ不足やエネルギー価格の高騰で生活が苦しくなっている現状があるのも事実です。
この記事では、日本の実質GDPの推移や、マスク・コメ・エネルギー不足といった身近な出来事を手掛かりに、経済成長の限界とは何か、そして「日本はもう成長しきった」という主張がなぜ間違っているのかをゼロからでも理解できるように解説していきます。
以下に該当する方はぜひ最後までご覧ください。
ニュースや社会の動きに興味がある人
日本は豊かでこれ以上成長しなくて良いと思っている人
「日本は成長しきった」という主張が真実なのか知りたい人
実質GDPの推移
まず、「日本はもう成長しきった」という主張を考えるために、日本の実質GDPの動きを押さえておきます。
実質GDPとは、物価の変動を取り除いて「どれだけのモノやサービスが生産されたか」という「量」を示す指標です。
※これに対して名目GDPとは、単純に生産された財やサービスの合計金額を示す指標です。
2025年:Aさんは1個100円のリンゴを100個売りました。
(この時の名目GDPは10,000円)
2026年:Aさんは1個200円のリンゴを100個売りました。
(この時の名目GDPは20,000円)
※この1年間で物価は2倍になっています。
この場合、名目GDPは2倍になっていますが、実質GDPは物価の変動を取り除くので±0(0%成長)ということになります。
この実質GDPについて過去約30年をさかのぼると次のようになります。

明らかに他の主要先進国と比べて成長率が劣っていることが分かると思います。
この図を端的に説明すると、
日本は1990年と比較して約30年で1.26倍生産性が向上しているということです。
他の国は少なくても1.5倍、アメリカに関しては2倍以上という数字が出ています。
じゃあ、ずっと日本は低い成長率で推移してきた国なのかと言うと、全くそんなことはありません。

実際のデータを見るとわかりますが、
高度経済成長期の日本は1年間で平均10%程度の成長率を記録していました。
つまり、1990年から30年かけて達成した成長率を、この当時は約2年間で達成するという驚異的なスピードで成長していました。
この2つを比べてみると、明らかに日本の経済成長のスピードは鈍化しています。
これが「日本は成長しきった」と言われる理由ということです。
経済成長の「限界」とは何か
次に、「経済成長の限界」という言葉をシンプルに定義してみます。
ここでは、経済成長の限界を「すべての人々が、欲しいモノやサービスを得られる状態」として考えてみます。
ここで言う「欲しいモノやサービス」は、単なる贅沢品だけではなく、生活に必要なもの(食糧・住まい・医療・エネルギー等…)も含みます。
つまり、「欲しい」と言っているのは、単に「欲張り」という意味ではなく、「人間らしく暮らすために必要だと感じるもの」まで含めて広いイメージです。
しかしこの状態は、現実的にはほとんど達成不可能な理想状態です。
なぜなら、スマホが無かった時代からスマホがほぼ必需品となった現代のように、人の欲求は時代とともに変化し、増え続けるからです。
「経済成長の限界」という言葉を厳密に考えると、
「人々の欲求が完全に満たされて、これ以上欲しいものがない状態」を意味しますが、そんな状態が訪れることがほぼないことは想像できると思います。
それにもかかわらず、「日本はもう成長しきった」と言うのは、「日本ではほとんどの人が、欲しいモノやサービスを十分に得られている」と暗に言っているのと同じです。
では、本当にそう言えるのでしょうか?
様々な不足
ここで、より具体的な事例を見ていきます。
コロナ禍の特に初期、
ドラッグストアやスーパーからマスクが消えた光景を覚えている人は多いと思います。
店頭には「お一人様1点まで」などといった張り紙が並び、それでも棚は空っぽのままという状態が続きました。
このとき、日本全体の実質GDP1が成長しているかどうかとは関係なく、「国民が必要としているモノが足りていない」という事実が、誰の目にも明らかになりました。
同じような構図は、最近のコメ不足やエネルギーをめぐる不安定さにも見られます。
エネルギーについては、資源エネルギー庁が発表しているデータからも、日本が化石燃料の多くを海外からの輸入に依存しており、エネルギー自給率が先進国の中でも低い水準であることが分かります。
また、日本の近年のエネルギー自給率は一桁台から1割台で推移しており、自分の国で自分たちが必要なものを生産できていない現状が確認できます。
ここで押さえておきたいポイントは、
「マスク」「コメ」「エネルギー」といった、生活に直結するモノでさえ、状況次第では「足りない」「手に入りにくい」状態になってしまうという現実です。
もし本当に「日本が経済的に成長しきっている」のだとしたら、少なくともこうした基本的なモノについては、安定的に供給され、誰もが困らずに手に入れられる状態に近づいているはずです。
しかし、現実ではそうなっていないですよね…
欲しいモノやサービスを得られていますか?
ここまで読んできたところで、一旦皆さんに問いかけたいのが、次のシンプルな質問です。
皆さんは欲しいモノやサービスを「ほぼ全て」手に入れられていると感じますか?
- 十分な量と質の食料
- 電化製品や日用品雑貨
- 安心して暮らせる住まい
- 自分が好きな服やファッションアイテム
- 生きたい場所への旅行
- 趣味で楽しみたいこと
これらについて、「価格も含めて不自由を感じない」「欲しいときに、欲しいだけ無理なく手に入る」と言える人は、多くないのではないでしょうか。
物価が上がる一方で賃金があまり増えない状況では、「欲しいけど値段を見て諦める」「本当はもう少し良いサービスを受けたいが、家計的には厳しい」といった場面が増えます。
つまり、「欲しいモノやサービスを得られているか」という問いは、「供給量が足りているか」と「それを買えるだけの経済力があるか」という二つの側面を含んでいます。
どちらか一方でも欠けていれば、「欲しいモノやサービスを得られている」とは言えません。
この視点から見ると、「日本はもう成長しきった」という言い方は、かなり現実からズレています。
マスク不足やコメ・エネルギー不足のように「そもそもモノが足りない場面」もあれば、物価高と賃金の伸び悩みによって「モノはあるが、手が届きにくい場面」もあるからです。
むしろ、「必要なものが足りていない」「欲しいけれど手が届かない」という現実がある限り、「まだまだ成長の余地がある」と考える方が自然です。
確かに江戸時代とかから比べると、今の日本は圧倒的に豊かです。
が、これを「限界」と位置付けるのはおかしな話ということです。
他の先進国は成長している
最後に「他の先進国の経済成長」という観点から見ていきます。

上のグラフは「各国の名目GDP規模の推移」を示したものになります。
これを見ると、日本より成長している国がありますよね。
もし仮に「日本が成長しきった国」であるならば、今経済成長している国は成熟していない国ということになるはずです。
しかし、現実には日本よりも圧倒的に大きなGDPを有しているアメリカや中国は経済成長をし続けています。
この点で矛盾していますよね。
これを見たら「日本はもう成長しきった」という考え方が間違っていると一目でわかると思います。
おわりに
この記事では、日本の実質GDPの推移、経済成長の限界の定義、その他具体的な事例を通じて「日本が経済成長しないのは、もう成長しきったからだ」という言い方がいかに現実と合っていないかを見てきました。
ポイントは非常にシンプルです。
- 経済成長の限界を「すべての人々が、欲しいモノやサービスを得られる状態」と考えるなら、今の日本はそこからほど遠い
- マスク・コメ・エネルギーなど、生活に不可欠なモノでさえ、状況次第で不足し、価格の高騰が家計を圧迫している
- 日本よりも大きいGDPを有している国々は成長し続けている
じゃあなぜ日本はあまり経済成長しないのでしょうか?
答えは政府の政策が間違っていたからです。

この問題にダイレクトにアプローチすることができる存在が「日本政府」です。
どれだけ1人で一生懸命考え、1人だけで行動してもほとんど何も変わりません。
ただ、皆さんの多くは国会議員を選ぶ選挙権を持っています。
この記事がその権利を行使する際の参考になれば幸いです。

この記事が皆さんの参考になれば幸いです^^
【出典情報】
内閣府:https://www.cao.go.jp/
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT):https://www.jil.go.jp/
一般財団法人 日本原子力文化財団:https://www.jaero.or.jp/
