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経済

『人手不足で経済が衰退する』は嘘!その理由をわかりやすく解説

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hachikundaisuki8
兄さん
兄さん

日本は少子化で人口が減っているから経済成長なんて無理なんじゃないかなぁ…

はちくん
はちくん

よく言われるけど、実はそれって間違いなんだ!
ちゃんとした根拠に基づいて解説するね

日本は少子高齢化で人手不足だから、経済成長は衰退する

ニュースやSNS等で、こんな言葉を見たことがあるかもしれません。

働く人が減ると、なんとなく「経済も小さくなってしまう」と感じるのは直観的には正しいように感じます。

しかし、本当に「人手不足=経済の衰退」なのでしょうか?

あらゆる角度からのデータや情報を見ていくと、おそらく人手不足に対する考え方が変わると思います。

この記事では、「人手不足と経済成長」について知識がほとんどない人でも理解できるようにゼロから解説していきます。

以下に該当する方はぜひ最後までご覧ください。

こんな人におすすめ

ニュースや社会の動きに興味がある人
少子高齢化の日本は経済成長できないと感じる方
経済成長には外国人労働者が必要だと感じる方

「人手不足だから経済成長できない」は嘘

まず「人手不足・人口減少だから経済成長できないと言われる根拠について整理します。

この主張は以下の理論に基づいて展開されています。

①少子高齢化で働く人が減る
     ↓
②生産量が減少する
     ↓
③経済が成長できない・衰退する

一見すると筋が通っているように見えますが、ここには重要な視点が抜けています。

それが「一人当たりがどれだけの財やサービスを生み出すか」、つまり「(一人当たりの)労働生産性」という視点です。

経済全体の大きさを表す指標としてよく使われるのがGDP(国内総生産:国内で1年間に生み出された付加価値の合計)ですが、これはざっくり言えば「働く人の数×一人当たりの生産性」に分けて考えることができます。

つまり、人口が減ったとしても機械化や自動化をすることによって一人当たりの生産性を伸ばせば、経済全体としては成長するということです。

ドイツの例

実際にGDPの国際比較の資料を見ると、2024年のデータでは、ドイツが日本よりもGDPにおいて上回っています

ドイツは日本より人口も生産年齢人口は少なく、一人当たりの労働時間も短いにもかかわらず、日本を上回るGDPを生み出しているのです。

これは、少ない働く人の数や時間でも高い生産性によって大きな経済規模を維持できることを示す典型例です。

中国の例

中国の例を見ても「人口減少=経済衰退」ではないことが分かります。

中国では1979年から一人っ子政策を導入し、2010年代半ばまで意図的に人口増加を抑制してきました。

そして、中国における生産年齢人口は2010年からほぼ横ばいです。

にもかかわらず、中国は経済成長をし続けています

つまり「人口を増やさなくても、一人当たりの所得を大きく伸ばした国が現実に存在する」という事実だけで、「人口が増えない・減少する=経済成長できない」という単純な図式が成り立たないことが分かります。

日本の例

最も身近な例として、日本が挙げられます。

現在の日本は人手不足だと言われていますが、高度経済成長期の日本は今よりも人手不足の状況だったと考えられます。

その根拠が以下の「完全失業率」になります。

完全失業率と有効求人倍率の推移
完全失業率と有効求人倍率の推移

完全失業率とは、「労働人口のうち、仕事を探しているのに就けていない人(完全失業者)の割合」を示す指標です。

例えば完全失業率が1%だとしたら、100人中99人が職に就ける状況ということになります。

つまり社会全体の傾向として、この数字が小さければ小さいほど人手不足・逆に大きければ大きいほど企業にとって人材は足りている状況と言うことができます。

それを前提に上のグラフを見てみると、1960年頃から80年頃までの数字の方が現在よりも小さくなっていることが分かります。

つまり、現在よりも人手不足の時代でした。

しかしその時期は「高度経済成長期」と呼ばれる、日本が諸外国にも例を見ないスピードで経済成長していた時代です。

つまり、「人手不足だから経済成長できない」は嘘だということになります。

人手不足は経済成長に必要な要素

企業はなぜ機械化・自動化に踏み切るのか

次に企業が機械化・自動化に踏み切る要因について見ていきます。

この機械化・自動化こそが、一人当たりの生産性を大きく伸ばす=経済成長の核となる部分です。

企業がロボットやITシステム、AIに投資する大きな理由の一つは「人手が足りないから」です。

人を増やそうとしても採用できない、あるいは賃金(給料が)上がってきて人件費が重くなってきたときに、企業は「同じ人数で、あるいは少ない人数で、もっと多く生産する方法」を探します。

極めて合理的ですよね。

その代表例が、機械化(機械に生産を任せる)や自動化(人がやっていた作業を自動で行う仕組みに変える)です。

その結果、今まで10人必要だった作業が3人で良くなったり、1時間かかっていた作業が30分で終わるようになったりするわけです。

これが「経済成長」という訳です。

生産性が上がると、少ない人でも生産量は増える

ここで、改めて「生産性」という言葉をもう少し丁寧に説明します。

労働生産性とは、簡単に言えば「一人の労働者が、一定の時間でどれだけの価値を生み出せるか」という指標です。

例えば、10人で1時間働いて100個の製品Aを作れる工場と、1人で働いて50個の製品Aを作れる工場があれば、後者の方が生産性が高いと言えます。

我が国における、この労働生産性の推移が以下です。

一人当たりの労働生産性の推移
1人当たりの名目賃金と労働生産性の推移

このグラフを見ると一目瞭然ですが、日本の労働生産性はここ30年程ほぼ横ばいの状態が続いています。

これこそが問題の本質です。

確かに人口は減少していきますが、1億人以上いる日本人が1年後に1万人になるわけではありません。

であれば、この労働生産性を長期的に上げれば解決する話です。

まとめると、企業は人手不足になると「人に頼るやり方」から「仕組みや技術に頼るやり方」へと発想を変えざるを得ません

その結果として、生産性が向上し、少ない人数でも多くの付加価値を生み出せるようになっていくのです。

なぜ人手不足なのに経済成長しないのか

では、なぜ現在の日本は人手不足なのに経済成長しないのでしょうか?

その理由は「国民・企業の手元に残るお金が少ないから」です。

以下は日本の実質賃金の推移です。

実質賃金の推移
実質賃金の推移

1990年代後半をピークに、日本の実質賃金は減少し続けています。

つまり、
国民の所得が減少する
   ↓
国民の消費も減少する
   ↓
消費が減少するから企業の収益が減る
   ↓
国民の賃金が減少する
   ︙

という循環になってしまっています。

そして経営状況が良くない状態で企業が機械化・自動化できる余力がないと考える方が自然です。

このような状況下で、企業は投資をしようという考えにはなかなか至りません。

じゃあ、どうすれば良いのか。

それは、政府が減税や支出を増額することで国民・企業の懐を豊かにすることです。

これまで日本政府は、実質賃金が減少し続けているにも関わらず国民負担率を上げてきました。

これは脱水症状になっている人をサウナに入れているようなものです。

つまり政府の政策が間違っていたのです。

詳しくはこちらの記事で解説
失われた30年とは?日本経済が成長しなかった理由
失われた30年とは?日本経済が成長しなかった理由

おわりに

この記事で見てきたように、「人手不足・少子化だから成長できない」という言い方は、経済の現実をかなり単純化したものです。

人口減少や高齢化は確かに制約になる側面はありますが、それが「経済成長の限界」を意味するわけではありません。

人手不足は、企業に自動化や業務改革を迫り、生産性向上の圧力として働きます。

一部では、
「これからの時代は人口が減少するからコンパクトシティしかない」
地方で災害が起きた時に「復興する価値がないから移住すべき」

といった声が挙がったりしていますが、果たしてそれで良いのか。

こういったことを決めていくのが政治であり、その代表を私たち有権者が選ぶ必要があります。

これらに絶対的な正解はないものの、様々な角度から考える知識は必要だと思います。

はちくん
はちくん

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです!

【出典情報】
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/index.html
内閣府:https://www.cao.go.jp/
RIETI – 独立行政法人経済産業研究所:https://www.rieti.go.jp/jp/
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT):https://www.jil.go.jp/


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こんにちは!「はちくんブログ」を運営しています。 ニュースの“わかりにくい部分”などを、できるだけやさしく説明しています。 政治・経済・社会問題は、 難しそうに見えて、実は日常生活と深くつながっています。 「専門用語なしで理解したい」 「ニュースの背景を知りたい」 そんな方に向けて、読みやすさを大切にしています。 ブログ名の“はちくん”は、以前飼っていた犬の名前です。 気軽に読めるブログにしたいと思っています! ※当サイトの内容は、一般的な情報提供・学習を目的としたものであり、 投資・政治的判断・その他の意思決定を直接助言するものでは一切ありません。
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